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Fixed Storage Guide & Cases 造作収納を取り入れるための設計手法

2024/08/01

快適な暮らしに欠かせない収納。なかでも建築と一体にデザインする造作収納は、収納する物に合わせて細部まで計画できるだけでなく、インテリアとの調和も図ることができます。ここでは実例を通して、インテリアの一部としてデザインされた美しく、実用的な造作収納について考えます。

 

 

 

 

K Residence(no.94に掲載)
設計/横堀建築設計事務所 家具製作/辰(大工工事)

 

2階のダイニングキッチンに隣接する南側にリビングをレイアウトしたK邸。グレージュを基調にした淡いトーンのインテリアに、ソファを中心とした置き家具をしつらえた。ソファの正面には、幅約3mの壁面を掘り込むように、テレビ、スピーカーやウーハーといったオーディオ機器、エタノール暖炉などを収めた壁面収納をデザイン。テレビは不使用時に視界に入らないよう、引き込みタイプのブラックガラス製の扉を設置することで、機能を充実させつつインテリアを引き立てた。

 

 

 

 

M Residence(no.128に掲載)
設計/イランイラン
家具製作/ケイアイ木工(家具工事)

 

M邸は傾斜地に立ち、見晴らしの良い2階にワンルームのリビング&ダイニングキッチンが広がる。ダイニングには階段室との間に、ガラスの内壁が一体となったキャビネットをデザイン。物をしまうだけでなく、上部はオブジェなどを飾るスペースとし、ガラスの背景によって際立って見える。併せて、キッチンにも壁面収納を設けて、気に入りの家電を見せてしまえるように。これらはリビングやダイニングに置いた北欧のヴィンテージ家具、自然素材を用いた床や塗装の壁などを考慮し、面材にナラ材を採用。扉の割り付けもそろえ、全体のバランスを大切にすることで空間に一体感が生まれている。

 

 

 

 

G Residence(no.132に掲載予定)
設計/スタジオCY 堀内 雪
家具製作/水澤工務店・富士装備(家具工事)

 

中庭を囲むように住まいを配置したG邸。寝室などのプライベートスペースを集約した2階のホールに、吹き抜けを介して下階のリビングを見下ろせる、家族共有のスタディスペースを計画した。階段側には、手すりの役割を兼ねる壁面収納をデザイン。天然石や無垢材、左官材仕上げでまとめた空間になじむよう、重厚感のあるスチールをフレームに、柔らかな印象のウォールナット材を面材と棚板にセレクトした。鉄骨階段を印象的に見せるため上部はオープン棚で抜け感を出し、気に入りのオブジェなどを飾る一方、下部は生活感のある物をしまえるよう扉を付けて、メリハリをもたせた。