HOME > TOPICS > 【新刊】From Editor/“中間領域”がもたらす豊かな時間

【新刊】From Editor/“中間領域”がもたらす豊かな時間

2021/03/16 

テレワークの普及により、住まいにおいて、さらに快適で充実した時間を過ごしたいと考えている人が増えています。春の気配が感じられるこれからの季節は、室内から出て暖かな日差しやさわやかな風を感じて心豊かに暮らしたいもの。我が家のルーフバルコニーには雨ざらしでダイニング家具が置かれていますが、もし屋根があれば強い日差しを遮るだけでなく、ソファも置いてアウトドアリビングとして楽しめるのに、といつも思っています。
もともと日本の住まいには、室内と庭の間に縁側や土間などの“中間領域”と呼ばれるスペースがありました。こうした中間領域は、残念ながら現在は多くの住まいから、さまざまな理由によって目的のない無駄なスペースとして省かれています。しかし、室内に隣接した屋根のあるテラスがあれば、家具を置いて屋外にいても室内のように過ごすことができ、開閉できるガラス戸を設置したサンルームなら、室内にいても屋外にいるかのような開放感が味わえるでしょう。
日本の住まいからはなくなりつつある“中間領域”ですが、環境が異なる海外では今でもさまざまな住まいや商業空間で活用されています。ハワイの住まいやホテルで見たラナイ(ハワイ語で屋根がついたテラスやバルコニーのこと)は、たとえ小さなスペースであっても必ずイスやテーブルが置かれていて、海や街の景色を見ながらゆったりと過ごすことができます。またイタリアで訪れた住まいでは、エントランスのポーチを広くとって屋根を架けたテラスとし、ダイニング家具やソファを置き、季節の良い時期は庭を眺めながら3食そこで食事をするのだとか。
住まいで過ごす時間が増えた今だからこそ、家族で過ごしたり、また家族の気配を感じながらも仕事や趣味など思い思いの時間を過ごせるさまざまな居場所をつくりたいもの。これから住まいを計画するなら、室内のような居心地の良い屋根のあるテラスをつくり、照明も設置して夜はラウンジバーとして楽しむのはどうでしょうか。

Elisa SUMITA, Editorial Director