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From Editor/美しい窓をつくる

2019/01/17

美しい窓とはどのようなものでしょうか。窓は風や光を室内にもたらす機能と共に、景色や外の様子を室内にいながらにして見せてくれます。美しい光で思い浮かぶのは、オランダの画家、ヨハネス・フェルメール。光の魔術師と言われているとおり、代表作の一つ「牛乳を注ぐ女」は左手の窓から室内に柔らかく差し込む光の描写が絶妙で、光が陰影を生み、人や物を美しく、より立体的に見せていることが分かります。それでは美しい光が差し込む窓の外に、人はどのような景色を見たいのでしょうか。新緑の木々やコバルトブルーの海、もしくは高層ビル群の夜景には癒されても、隣家の窓や物置きは避けたいもの。良くも悪くも私たちは窓を通して外の世界とつながっているのです。
 窓は、住まいのインテリアにおいても重要な存在の一つ。間取りだけでなく、窓と室内ドアのデザインを始め、床材、テーブルやキッチンの天板など大きな面積を占める素材で空間の質はほぼ決まってしまいます。そのなかでも窓は実施設計の段階で決まっていなければなりません。実施設計を終えて構造を検討した後では、窓の位置や大きさの変更は難しいからです。たとえば木造の場合、窓の上下の位置は多少変更できても、左右の位置は窓の両側の柱が建物の土台と梁に固定されるためできません。併せて、実施設計の際に窓に取り付けるカーテンやシェードなどのウインドートリートメントも決めておきましょう。その選択が窓まわりのデザインに大きくかかわり、写真を撮りたくなるような美しい窓になるかが決まります。インスタ流行りの昨今だからこそ、写真に撮りたいと思うことはこれからの基準かもしれません、笑。そんな窓をつくるためにも、まずは街に出て、自分好みの窓を探しに行きましょう。

Elisa SUMITA, Editorial Director