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【新刊】From Editor/木造で大空間をかなえる

2021/07/21

今回は、久々に木造について特集しています。本誌では、これまで三度にわたり特集してきました。季刊誌だったno.11(2003年Summer)では木造を主構造にした混構造を特集。まだ建築家と構造家が協働することは少なかったものの、エンジニアリングのプロフェッショナルとして構造家をクローズアップ。それまでになかったダイナミックな空間を実現した住まいができ始めたときでした。no.61(2013年1月号)では地球環境や資源の問題に注目しつつ、これからの木造の可能性を考察。そしてno.84(2016年11月号)では、熊本地震により古い木造住宅の多くが倒壊したことから、耐震性の向上について特集。私たち日本人にとって身近な木造について、そのときどきに合うテーマを取り上げてきました。
住まいをつくるうえで、誰もが潤沢に予算があるわけではありません。そんななか、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて建築コストが抑えられる木造を選び、実際に生活する居室の仕様や家具などに費用をかけるというのも選択肢の一つでしょう。今回は木造で柱のない大空間や大開口をかなえる設計手法について特集。近年、住宅設計において多くの建築家が構造家と協働するようになったうえ、部材をつなぐ金物の性能が上がり、木造の技術も向上しています。LDKのワンルーム化が一般的となった今、木材の特性を生かし、弱点を補いつつ開放的な空間を実現することが求められているのです。
現在、輸入木材の不足により木材価格が高騰しています。そもそも日本は、森林面積が国土の3分の2と世界でも有数の森林国。このうち約4割を占める人工林の半数が植栽後50年を超え利用期に入っていますが、これまでは安価な輸入木材に押されて日本の木材自給率はわずか3割ほど。これを機に6割程度まで上げて森林資源の循環利用を図り、SDGs(持続可能な開発目標)を実現していくのはどうでしょうか。それには、国を上げて林業を守っていく必要があります。自分の住まいに加え、私たちを取り巻く環境についても高い意識をもちたいものです。

Elisa SUMITA, Editorial Director