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【新刊】Create Ambience with Lighting 住まいに特別感を。雰囲気をつくる照明計画

2024/11/21

夕暮れを眺めたり、食卓で歓談するひととき。照明は、そんな住まいの夜を演出する大切なエレメント。昼と異なる雰囲気や非日常感を演出できれば、気分が切り替わりリフレッシュできるはず。ここではホテルやセカンドハウスの照明計画を例に挙げながら、明かりによって住まいに特別感をもたらす方法を探ります。

 

 

 

 

SEA-LIFE TSURIGASAKI

Architecture : GEN INOUE
Lighting Design : Mantle
Photographs : GEN INOUE

 

 千葉・一宮に立つ海を楽しみくつろげる一棟貸しのヴィラ。釣ヶ崎海岸近くの約1450㎡の敷地にプールを設け、それを囲むようにコの字型の建物を配した。
 照明は空間を包み込む柔らかな光を基本に、居室ごとに演出を変更。ゆったりと過ごすリビングは梁にスポットライトを仕込んで器具の存在感を抑え、その光によって居場所を際立たせた。人が集うダイニングは、フィラメント球の明かりで特別感を演出。リゾートのような趣のテラスにはグレアレスのダウンライトを点在させ、明暗差を創出し雰囲気を盛り上げた。一方、寝室はダウンライトやライン照明でシンプルに構成し落ち着いた雰囲気に。フットライトは壁を掘り込んで収め、すっきりと見せている。

 

 

 

萌蘖(HOGETSU)

Architecture : 横内敏人建築設計事務所
Lighting Design : Mantle
Photographs : Tomonari Shimasaki

 

 鹿児島市内に立つ一棟貸しの民泊施設。日本の伝統的な生活文化に触れながら、暮らすように滞在することをコンセプトとしている。鹿児島の武家屋敷にならい、「オモテ」と「ナカエ」と名付けた二つの建物を設けてハレとケの空間を演出。それぞれの棟の室内から見える庭の照明計画も大きく変えた。
 和室から眺める「オモテ」の庭は月明かりを思わせる白い光で柔らかく照らし、水盤には特注の灯籠を浮かせてハレの場としての非日常性を強調。食事をしながら眺める「ナカエ」の庭は、上からだけでなく、下から照らす照明も設置している。庭の樹木全体を際立たせるほか、室内の障子を閉じると木の影が映り込み、多様な景色を楽しめるよう計画した。

 

 

 

 

五島リトリート ray by 温故知新

Interior Design : 橋本夕紀夫デザインスタジオ
Lighting Design  : Modulex
Photographs : Nacása & Partners

 

 長崎・福江島のラグジュアリーホテル。大開口から取り込む海の眺望が目を引く。ホテル全体の照明はその景色を引き立てつつ、また呼応する計画に。
 客室では球体状のシェードをもつ特注照明をメーンとし、天井に設けた狭角の小型ダウンライトで照度を確保した。窓辺に特注のフロアランプを置くことで、視線を外部に誘う浮遊感のある光と、海を同時に楽しめるようデザイン。洗面スペースにはガラスシェードの特注ブラケットライトを取り入れ、目を引く光を空間の彩りとした。高さ6mの大開口がゲストを迎えるロビーは、空と海が映り込むテーブルを主役に。天板に光源を設け太陽や月のように見立て、自然の景色と呼応させている。