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From Editor/住まいは自分そのもの

2017/06/30

2年ぶりにドイツに来ています。今回の住宅取材で驚いたのは、竣工という概念が日本とは少し異なること。コストはさておき、ここでは、皆、住みなが らもなお、自分好みのインテリアにしていくことに喜びを感じているように見えました。最初に訪れたのは、スカンジナビアンデザインが好きな若い夫婦の住ま い。生活できる状況ではあるものの、壁にはいくつもの配線が露出し、まだ気に入りの意匠照明が見つからない様子。まさに外構工事の真っ最中でしたが、庭の プールを使用したと楽しそうに話してくれました。在庫がある既製品から建材や機器を選び、短期間で竣工させる一般的な日本の住まいとは、考え方が違うので す。その後訪れたハイエンドな住まいは、引っ越しから約2カ月。シンプルで緩やかなデザインが好きな妻は、多くの建材や家具などをベルギーのメーカーに オーダーしたとか。ファミリーダイニングやキッチンは完成しつつも、地下やテラスはいまだ工事中で、エントランスのシャンデリアも納品待ち。今、彼女は一 つひとつ自らが選んでつくり上げていくインテリアに、とても満足しています。

一方、10年を経てすべてがしっくりとなじんでいたのはデザイナーのHaver Kampの自邸(写真)。シンプルな空間ながら、壁の一部にはダークブラウンを用い、至るところにアートをディスプレイした心地良い住まいでした。長い時 間をかけて今のかたちへとたどり着いたのでしょうが、次なる計画を考えている様子も。さまざまなライフスタイルがあるなか、共通して言えるのは、住まいは 自分そのものであるということ。時には失敗を恐れず自ら手を加えて楽しむ。改めて、住まいづくりに終わりはないのだと感じました。


Elisa SUMITA, Editorial Director