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【新刊】From Editor/長く住み続けるために

2018/11/9

いつのまにか、私たちの人生は100年を視野に考えなくてはならなくなりました。皆がそれを考えるようになったきっかけは『LIFE SHIFT』※という本。人々の寿命が延び続けるなか、これまで80年程度で計画されていた人生設計を見直そうという内容です。ここで大切なのは単に寿命を延ばすのではなく、健康な状態で可能な限り長く生きるということでしょう。それは住まいとも大いに関係してきます。
今号の特集「年を経ても暮らせる心地良い住まい」は、私たちの身体が歳を重ねて徐々に変化していくなか、住まいにおいてどのようなことが必要になるかを知っておこうというのがテーマ。もちろん、どのような住まいにするかは個々の選択によるでしょう。たとえば、シニアの暮らしでは引き戸が有効だと書いていますが、私個人としてはインテリアの好みから開き戸が良いと思っています。また、常々、住まいにおける豊かさとはゆとりのある空間づくりであり、階段や廊下は幅1200㎜程度が理想だと考えていますが、将来、もし車イスを使用するなら決して無駄な広さではないのです。しかしながら、日本の住まいの多くは経済効率的なモジュール(柱の芯々910㎜)で設計されているため、柱や壁を除くと階段や廊下は幅800㎜程度になることも。住まいの延べ床面積や予算にもかかわり、必ずしも実現できないかもしれませんが、高齢者でなくとも階段や廊下が広いのは気持ちが良いうえ、大型化の傾向にある家具の搬出入が容易になるという利点もあります。
住まいづくりの経験は人生で1度か2度。今を楽しく生きるのはもちろん大切ですが、長く暮らし続ける住まいだからこそ、さまざまなことを知り、取捨選択をしてつくりたいものです。

※『LIFE SHIFT』リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著©東洋経済新報社

Elisa SUMITA, Editorial Director